社会福祉法人 恩賜財団 京都済生会病院

新築移転とともに多職種で取り組む医療DX。京都済生会病院の挑戦

社会福祉法人 恩賜財団 京都済生会病院
新築移転とともに多職種で取り組む医療DX。京都済生会病院の挑戦

京都・乙訓(おとくに)医療圏における急性期医療の中核を担う基幹病院、また乙訓地域においては唯一の公的医療機関として地域を支える京都済生会病院様では、2022年6月の新築移転を機にユカリアタッチをご導入いただきました。「出産から看取りまで」をキーワードとして掲げ、周辺地域と連携しながら切れ目のない医療を提供し続けている京都済生会病院様がさらにその機能を高めるべく、DXの推進をはじめとするさまざまな取り組みを進めています。

ユカリアタッチの導入プロジェクトを推進された、病院長 吉田 憲正様、看護部長 田中 五月様、病棟看護課長 檀野 由美様、医療安全管理者 長谷川 久美子様にお話を伺いました。

「質の高い安全な医療」と「働き方改革」、両方を実現するDXを現場目線で考えました

ーユカリアタッチを導入された背景を教えていただけますか?

吉田様:病院の移転にあたり、地域の基幹病院としての機能をより高め、これまで以上に地域の方からの信頼度を上げるにはどうするのが良いかと考えました。

最適な医療を提供するために先進の医療機器を導入することはもちろんですが、良い機器が入っても患者さんにとって安心・安全な環境でないとだめですよね。看護部や検査部、事務部門とも情報交換をして、いかに質の高い医療を実現するかということを考えていたときに、ユカリアタッチを知りました。

ベッドサイドで患者さんの最新情報を確認できるということは、病棟看護師にとってケアの安全性を高めるだけでなく、今は様々な職種のスタッフも病棟で仕事をすることが多いですから、彼らにとっても価値があると考えました。

病院長 吉田 憲正 様

また、やはり新しい病院になるときに職員のモチベーションを高めたいと思い、職員の働き方改革にもつながる新しいシステムを入れたいとも考えていました。病院の医療安全と働き方、両方にプラスになるDXですね。言わずもがなですが、どちらも最終的には患者さんのためにつながります。

― 病院の働き方改革が求められる中でのDX導入についてのお考えをお聞かせください。

働き方改革や医療DXの導入を円滑に推進するためには、現場目線の評価がカギだと思っています。ユカリアタッチ導入の検討にあたっても、看護部長と事務部門と私とで他の導入病院に見学に行き、さまざまな情報収集を行いました。その結果、実際に私もこのシステムが必要だと感じ、看護部だけでなく多職種で共有するツールとして使うことを条件に導入を決断しました。稼働後も常に現場と情報交換を行い、現場目線の評価をするようにしています。

コロナ禍でも効果的な情報共有を実現し、患者さん・医療者のリスクを軽減

― 看護管理者の立場から、ユカリアタッチの効果をどのようにお考えですか。

田中様:今の看護現場というのは、以前に比べて記録や書類の記入などにとられる時間が多くなってきて、ベッドサイドに行く時間が無い、などと言われています。その中で、ベッドサイドでユカリアタッチを見れば1画面で情報が入ってくる、それもピクトグラムで視覚的に表現されている、というのは看護師にとってケアの質や安全性を高めるための大事な要素だと思います。

看護部長 田中 五月 様

特にコロナ禍で面会も限られ、以前であればご家族も含めて患者さんの情報や治療の計画など共有できていたものが制約されてしまいました。そのような状況で皆が情報をきちんと共有するためのツールとして、活用をしています。

導入効果というとデータですぐに出るものばかりではありません。もちろんユカリアタッチにより情報共有の質が高まれば転倒・転落の予防もできますし、他にも検査や手術の前に食事や服薬を制限する場合がありますが、これがもし抜けてしまうとまた日にちをあけて再入院だとか、患者さんにも病院にも負担がかかってしまう、そのような事態を引き起こすリスクも減っていくはずです。

今後も時代の流れに対応して、先進的なシステムを積極的に導入していきたいと考えています。

看護部だけではなく、病院全体のプロジェクトとして導入を進めました

― ユカリアタッチの導入にあたってはどのように進められたのでしょうか。

檀野様:ユカリアタッチの導入が病院全体で決定し、院内で導入を主導する担当に任命されました。実際の進め方としては、各部門の代表が集まり具体的な話を進めていきました。看護部内でWG(ワーキンググループ)も作っていましたが、看護部だけが使っていくものではないので、医師を含む他の部門の方々も積極的に巻き込んで、製品の仕様検討やそれに伴う院内のマニュアル整備を行っていきました。

病棟看護課長 檀野 由美 様

ピクトグラムを表示させるにあたっては、ユカリアタッチの導入を機に院内の安静度基準を新しいものに整備しました。他にもこれをよいきっかけとして、改めて整えたルール等もいくつかあり、そのためにしなくてはいけない作業はあったものの、副産物を得られたのは良かったと思います。

導入後は、毎週行っている医療安全ラウンドでユカリアタッチを効果的に使用できているかどうかをチェックしてもらったり、看護補助者を対象としたユカリアタッチ研修会を開催したりなど、ツールを有効活用できるような取り組みをつづけています。

昨今、働き方改革が推し進められている中で、医師から看護師、看護師から看護補助者、というような単純なタスクシフトの流れだけではなくて、一緒に働いているスタッフが安全に協働・協力していくことに繋がっていければ良いなと思っています。

多職種が関わるベッドサイドのケアに必要な情報を一元管理し、安心・安全な療養環境へ

― 院内の医療安全活動にはどのように貢献できていますか。

長谷川様:ユカリアタッチを多職種での情報共有のツールとして活用しています。

例えば食事介助の方法や移動の方法、手術・検査の予定、欠食などの情報は、ベッドサイドでケアする看護師、看護補助者、セラピストなど、複数の職種に関わるものが多いので、それらの情報が一元化されて表示できるのは医療安全上、大きな意味があると思っています。特に、手元に電子カルテが無い状態で必要な情報を確認することができ大変便利という声も聞かれています。

医療安全管理者 長谷川 久美子 様

また、電子カルテの看護師業務分担と連携して「本日の担当看護師」が表示されるようになりました。

スタッフステーションに戻らなくても報告・連絡・相談する看護師がベッドサイドでわかるという点は、導入後のアンケート調査において高く評価されています。

さらに、ユカリアタッチにはバイタル測定器連携機能があり、正確な数値をタイムリーに入力できるのも医療安全上メリットがあります。

ユカリアタッチを有効に利用するためには、正しい情報が表示されていることと、ケアするスタッフが表示されている情報を確認する習慣を身に付けることが必要となりますので、この辺りについて継続して推進していきたいと考えています。

ユカリアタッチをご活用いただいている多職種の皆さま

※役職は導入当時

ユカリア担当者より

ユカリアの関西エリアの営業を担当している市橋です。

院内の皆さまからのお話の通り、京都済生会病院様では導入段階から運用方法をしっかりと計画していただき、稼働後は職員全体で有効活用に取り組むことを掲げ、多職種で運用いただいております。そんな京都済生会病院様でのユカリアタッチにまつわるキーワードを2点挙げさせていただきます。

■ユカリアタッチと患者参画型医療

1点目は「患者参画型医療」です。ユカリタッチ稼働後半年を過ぎたぐらいの時に、檀野様のユカリアタッチをテーマにした研究発表をお聞きする機会をいただきました。

今日、医療のかたちが医療者志向型から患者志向型へと変化する中で、ユカリアタッチのようなベッドサイド情報端末で患者さんの情報を表示し多職種で援助することで、生活者としての患者さんという視点を持ち、患者さんご自身に医療参画を促す手段として有効であるという考えをお聞きしました。

■ユカリアタッチとベッドネーム

2点目はベッドネームです。京都済生会病院様では現在、病床に掲示するベッドネームを使用せずにユカリアタッチで管理をしておられます。業務の手間だけではなく差替えにかかるプレートのコストも安くないという話も田中看護部長からお聞きしました。

ユカリアタッチには様々な情報が表示されており、その情報を有効にご活用いただいている一例として嬉しく思います。

お客様情報

社会福祉法人 恩賜財団 京都済生会病院

京都府長岡京市下海印寺下内田101番地
26科
288床(HCU12床、急性期233床、地域包括ケア43床)