佐世保市総合医療センター様は長崎県北部に位置し、地域住民の医療を支える基幹病院として、高度急性期医療を提供している病院です。病院医療安全の質の向上、および看護師の業務負担軽減を目的として2020年よりユカリアタッチをご活用いただいております。ユカリアタッチ導入時の経緯、および現在の院内で果たしている役割について、副院長兼看護部長 緒方 信子様、医療安全管理者 古田 美佐子様、また日頃業務でユカリアタッチをご利用いただいている病棟看護師のお二人にお話を伺いました。
アナログで煩雑だったベッドサイドの環境がすっきりと改善
―ユカリアタッチを導入いただいた背景や経緯をお聞かせください。
緒方様:医療安全の質の向上、および看護師の業務負担軽減の2点を主な目的として、導入を決定しました。
医療安全の観点からすると、以前は患者さんの様々な制限や注意事項をベッドサイドの小さなホワイトボードに書いたり貼ったりしていました。実際、内容の更新がされていなかったり、何と書いてあるか分からなかったりというような状況を見て、リスク回避のためには皆が見て分かる電子媒体を使うのが良いと考えました。
さらに、ユカリアタッチを導入している他の病院に視察に行くと、特にバイタル機器連携の機能を活用することで、測定値の記録にかかる時間をかなり短縮できたという話を聞き、看護師の業務改善の一環としての効果も期待できると考え、導入を進めました。
古田様:実際の導入にあたっては、現場の看護副師長を中心としたプロジェクトチームを立ち上げ、具体的にどうやったら医療安全上のリスクを軽減できるか、業務の効率化が達成できるか、という検討を重ねていきました。ピクトグラムの表示を決める段階では、看護部だけでなくリハビリテーション室のメンバーや多職種も含めて検討を行い、導入に至りました。
―導入後の院内の反応はいかがでしたか。
緒方様:病院は何でもそうなのですが、新しいものを導入したら、最初は多少混乱が起きます。始めは病棟によって利用率に差があったりしたので、利用状況に関するレポートを確認し、なぜ使っていないのかを分析し、話し合うようにしました。医師も協力的でしたね。そういった時間はかかりますが、慣れてしまえば、今は何事も無かったかのように使っています。
「お知らせ機能」の活用で部署や職種を越えたコミュニケーションがスムーズに
―実際に医療安全のためにユカリアタッチをどのように活用していますか。
古田様:まずはお知らせ機能ですね。スタッフ間の情報共有やそれぞれの部署からの患者さんに対する注意事項を配信する場として使っています。例えば、「転倒・転落防止のためにベッドセンサーを使用しており、起き上がり〇秒でナースコールが鳴るような設定にしています」という情報は、ケアを担当するスタッフも確認できますし、患者さんへのご説明にも使っています。ベッドサイドで確認ができると、そのセンサーや設定が適切かどうか、その場ですぐ評価ができるので、看護計画にも繋がってきます。
緒方様:以前、情報の連携が上手くできておらず24時間のホルター心電図を早めに外してしまったというインシデントがありました。それ以降、検査室から「○時に外してください」という表示をするようにして、同様のリスクを回避しています。部署や職種を越えたコミュニケーションツールとして、最終的には患者さんに不利益をもたらさないように利用しています。
古田様:あとは、実際にナースコールが鳴って排泄介助をするというような時、以前であればその患者さんの介助方法を毎回確認しなくてはならないような状況だったわけですが、ユカリアタッチのピクトグラムを見ればきちんと統一したケアがその場でできる、というところが安心ですね。昨今、特に入院期間が短くなってきている中で、患者さんの状態の変化にあわせてしっかり表示ができるというのが良いと思います。
―「ピクトグラム」だけでなく、表示できるメッセージの自由度が高い「お知らせ機能」も多職種で有効活用されているのですね。
緒方様:そのほかにも「経過表」の表示で直近のバイタルの数値が確認できるので、例えば看護師がバイタルを測って、その後ほぼ同じ時間にリハビリの人が来てまた血圧を測って、ということをせずにユカリアタッチを確認してもらうだけですぐリハビリに行けるようになりました。看護師、リハビリスタッフの業務効率化だけでなく、患者さんへの負担も軽減されるので良いですね。
全ての職種の方が電子カルテを持ち歩いているわけではないので、そういう意味でも多職種での情報共有のプラットフォームとして活用ができますね。リハビリ以外でも、例えば電子カルテを持ち歩かない看護補助者の方も、ベッドサイドで患者さんの状態や禁止事項などを確認して、自分たちのケア計画にも繫がっていくと思います。
ユカリアタッチで情報収集からバイタル入力が完結。院内感染対策にも一役買っています
―今や院内の情報共有ツールとして定着しているのですね。
緒方様:そうですね。特にここ数年はCOVID-19の重点医療機関として中等症以上の患者さんを積極的に受け入れてきましたので、レッドゾーンの中に電子カルテを何台も入れることができない、コロナ病棟でも有効活用できました。何か電子カルテの情報を確認したいときに、毎回PPE(個人防護用具)を全て外して、というのは感染リスクも高まり手間も増えてしまいます。バイタル連携機能もありますので部屋の中でバイタル測定から入力、確認までがシームレスに完結されます。
小さな業務効率化やリスク軽減の積み重ねが、患者さんと職員の安心・安全に
―導入を検討されている病院の方々へ、メッセージをいただけますか。
緒方様:働き方改革や業務改善という文脈では、例えば今まで紙に書いていたものをユカリアタッチに置き換えれば1分くらい違うとします。たかが1分と思われるかもしれないですが、それが全看護師の積み重ねだと考えると、この時間が30分、1時間となり、その結果、患者さんのベッドサイドで使える時間が増えるということになります。わずかな時間やリスク回避の積み重ねが大きな業務改善、さらには患者さんの安全に繋がると思います。
なので、看護部だけでなく病院全体のチーム医療で使う1つのツールとして、ここに投資するか、いつするか、というのは検討の価値があると考えます。
古田様:ユカリアタッチは患者さんの安全も、職員の安全も担保するために有効なツールだと思っています。スタッフに無くなったらどうする?と聞くと、「いやいや毎日使っているので、無くなったら困ります」なんて言われます。
日々の病棟看護業務の中で、欠かせないツールになっています
―ここからは実際に病棟で業務をされている看護師の方のご意見を伺います。普段、ユカリアタッチをどのようにお使いいただいていますか。
朝長さん:バイタル連携機能を良く使っています。検温をして、測定器をそのままタッチするだけで入力が完了できるので、間違いなく、リアルタイムで入力できるのがすごく良いと思います。特に皆が言っているのは、初めて使用する抗生剤を投与する際に血圧を5分おきに測ることがあるのですが、その際の入力がとても楽になりました。入力ミスもないので、例えば「3」と「5」を見間違えるといったことも発生しないので安心です。
北川さん:「離床先表示」によって患者さんを探して回らなくて良くなりました。リハビリや検査の時によく活用しています。あとは当日の検査や治療の予定が表示されるのは患者さん自身でも意識してご覧になっていますね。
朝長さん:採血や血圧測定の時に、例えば「右上肢処置禁止」というような情報がピクトグラムで表示されるので、毎回カルテを開かなくてもその場でわかるのが良いなと思います。担当ではない他のチームのスタッフが患者さんのベッドサイドに行ったとしても、安心して対応ができます。
北川さん:私が勤務している血液内科病棟では、クリーンルームの中に電子カルテが設置されているわけではないので、その都度パソコンを拭きあげてノート型電子カルテを持ち込みますが、クリーン度が高い部屋に持ち込まなくて良くなったのもうれしいです。
―ありがとうございます!今後もさまざまな場面でご活用いただけるとうれしいです。
ユカリアタッチ サポートチームより
院内の皆さまからのお話の通り、当院では医療安全の質を上げ、医療事故につながりうるヒヤリハットを未然に防ぐためのサポートツールとして、ユカリアタッチをご導入いただきました。
導入後も、積極的な活用・定着に向けて院内全体で取り組んでいただいていたことが印象に残っています。医療安全の側面だけでなく、例えば患者様向けの院内Wi-Fi接続の案内表示に活用いただくなど、患者満足度の向上やスタッフの業務効率化につながるような、多角的な活用をされている様子を伺っております。
実際、院内の皆さまとのお話の中でも、「夜勤担当者の巡回にかかる時間が短くなった」といったうれしいお声もいただいたことがあります。
これからも院内の皆さまのご評価やご意見を伺いながら、さらに有効に活用いただけるよう、引き続きサポートしてまいります。
独立行政法人 佐世保市総合医療センター
- 所在地
- 長崎県佐世保市平瀬町9-3
- 病床数
- 594床
- URL
- http://www.hospital.sasebo.nagasaki.jp/